君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】



「私、ちゃんと聞くから」

「……藤さん」

「すっごく怖いけど。でも、ちゃんと聞くから」

「……うん」

「夏休み最後まで引き延ばしてるのって、夏休みいっぱい私と彼女でいたいから?」

「!!」


槙野くんの肩が揺れる。
大袈裟に見開いた目。
強張った顔で、私は察した。


そっか、やっぱり別れ話なんだ。


う、もう泣きそう。胸が痛い。
ちゃんと理由を聞かないと。それまでは泣けない。


大好きだから。槙野くんの事が。
だから、最後までちゃんと話を聞くんだ。


その後、私達は何も言葉を交わさなかった。
家まで送ってくれた槙野くんに笑顔でさよならを言えたか、わからない。
夏休み、最後の日。


部活の後、私は彼と会う約束をした。


その日が私が彼の彼女でいる最後の日。



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