君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
僕だけは覚えているから。
一日一日が長く感じた。
その日が来るのが怖い。こんなにも大好きなのに、別れが来てしまうなんて。
八月三十一日。
明日は始業式。
だけど、私は朝から部活だ。
気持ちは晴れなかったけど、そんな時だからこそ走りたかった。
「おはよう、瑠美子」
「あ、メイちゃん。おはよー」
「明日から学校だね、宿題終わった?」
「終わった終わった」
「まじかよ」
そんな他愛ない話をしながら、私達は練習を開始した。
終わった後、先輩が私に近付いて来る。
「ね、藤~。花火大会、彼氏といたっしょ?」
「えっ」
「見ちゃったんだからね、あたし達」
「そうなんですか?えー瑠美子、どうだったの!?教えてよ」
先輩の輪の中にメイちゃんも混じって、一緒に私を問い詰める。
「えっと、その、あの……」
楽しかった。浴衣を着ている私を見て可愛いって言ってくれたし。
大好きだってすっごく思った。
でも、でも。
もう別れちゃうんだ。