君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
「……槙野くんとは別れるんです」
「え?」
そこにいた皆が目を見開く。
誰もが言葉を失っているようだった。
最初に声を出したのは、メイちゃんだ。
「何で?瑠美子が振ったの?」
「ううん」
「嘘でしょ?槙野が?」
メイちゃんは更に信じられないって顔をしている。
「おーい、瑠美子!彼氏が来てるよ!」
そこに割って入った声。
何も知らない友達は異様な空気を感じ取ったのか私達を見て、首を傾げる。
「どうか……したの?」
「ちょっと、私槙野に言って来る」
そう言うが否や、部室を出て行ったのはメイちゃんだ。
「え?ちょっと、メイちゃん!」
声をかけるけど、メイちゃんは立ち止まらない。
私は慌ててその後を追いかけた。
槙野くんはグラウンドの端にある木陰で待っていた。
そこへ真っ直ぐにメイちゃんが突き進む。