君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
「ちょっと槙野!」
メイちゃんは怒気を含んだ声で槙野くんを呼んだ。
すぐに槙野くんがこっちを向く。
メイちゃんを見て目を真ん丸にしていたけど、そのすぐ後ろにいる私を見つけると頬を緩ませた。
「ねえ、瑠美子と別れるって本当なの!?」
「え?別れる?」
槙野くんはポカンとしたまま、メイちゃんを見ている。
「え?別れるんじゃないの?」
「えっと、どこでそんな話を……って、そうか、別れる事になるんだ。
そうだね、僕と藤さんは彼氏と彼女じゃなくなるかな」
淡々と告げられ、私は胸がぎゅうっと掴まれた様に痛くなった。
やっぱり、別れ話。
「何で?あんなに仲良しだったじゃん」
「えっと、理由は言えない。でも、僕は諦めない」
「……は?」
今度はこっちがポカンとする番だ。
諦めない?どういう事?
別れるって言っているのに?
訝しげな顔をするメイちゃんに槙野くんは言った。