君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
僕は君をずっとずっと好きでいる。
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目の前で、眠りに落ちた彼女を見て僕は涙を零す。
大好きで、大好きで、大好きで、どうしようもなくて。
こんな選択をしなければ、泣かせる事もなかったし、恋人でいられたんだ。
僕の、ワガママだった。
藤さんに好きになってもらいたかった。
この不思議な力がきっかけじゃなくって。
僕が藤さんに話しかけて、笑いかけて、そして、藤さんに好きになってもらいたかった。
そうでなくちゃ、僕は一生藤さんに後ろめたい想いを抱えなくちゃいけない。
そんなの我慢すればよかったのに。
でも、藤さんはきっとそんな僕に気付いてしまう。
何かを隠している事に気付いてしまう。
僕は聞いてしまったんだ。
藤さんと母さんの会話を。
母さんは気付いていた。
父さんが何かを隠しているって事に。
何かを隠されているって、そんなの僕なら嫌だ。
藤さんもきっと僕に何も言わずに笑顔でいてくれるかもしれない。
それでも、僕は藤さんに何も隠したくなかった。
だから、再び付き合えたとしても僕は藤さんに力の事をちゃんと話すつもりだった。