君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
「赤点取ったらとりあえず笑ってあげるね」
「酷い~~。それが友達に対する態度ですか」
私が茶化すように言うと、口を尖らせながら頬を膨らませた里緒。
それに私はクスクスと笑った。
教室に到着して、中に入った私はドキッとして足を止めた。
入ってすぐに立っていたのは槙野くんだったからだ。
そうだ、槙野くんの席は廊下側の一番後ろだった。
私に気付いた槙野くんは、目を見張ったけどすぐに顔を綻ばせる。
「おはよう、藤さん」
「えっ、あ、おはよう」
動揺しながら挨拶を返す。
すると、後ろから背中を突かれた。里緒だ。
「何、どうしたの。槙野といつも挨拶してたっけ」
こそこそっと私に耳打ちする里緒。
槙野くんは私から里緒に視線を移すと、笑みを絶やさないまま口を開いた。