君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
「長田さんもおはよう」
「え!?あ、お、おはよう!」
ニコニコ微笑む彼は昨日とは打って変わって別人のようだった。
私も驚いている。
だけど、私は知っているから。
これが彼の計画の内だという事を。
椅子に座った槙野くんの事を訝しげな顔で見つめる里緒。
私は窓側の隣の席、一番後ろだ。
里緒はその前。
そこに辿り着くと、やっと里緒が口を開く。
「ねえ、槙野ってあんなキャラだった?」
「……さあ」
曖昧に返事をすると、里緒は更に続ける。
「だって、いつも挨拶しても無視って感じじゃん。
だから皆挨拶してないのに。急におはようってめっちゃびびったんだけど」
「何だろうね、心境の変化とか?」
「イメチェン?」
「じゃない?」
「にしては遅いと思うけどね。こういうのって高校入ってするもんじゃないの?」
頬杖をつきながら首を傾げる里緒。
突然の槙野くんの変化に戸惑っているようだ。
それは尤もな意見だと思う。私も里緒の立場なら思ったよ。