君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】

好きだとか一切思っていなかったけど、少しは意識する。
恋愛に興味がなかったわけじゃないし。

ただ、それよりも陸上が楽しかったから。
部活を辞めたら大学受験があるし、また忙しくなる筈。


そうしたら、やっぱり今は恋愛なんて出来ないって思っていた。


それに好きな人とか自然と出来るだろうな~って思っていたのに、十七まで出来ずにいるし。


そんな私が、彼を好きになんてなるのだろうか。
いくら明るくなっても、人気者になったとしてもだ。


彼が変わらなくたって、そういう人は今までクラスにいたんだ。
なのに、心惹かれなかったって事はそれが理由なわけじゃないと思うんだよね。


今の槙野くんを知りたいのにな。
それじゃダメなのかな。


後でこっそり槙野くんを呼び出してみよう。
私は授業が始まるチャイムを聞きながら、そう決めて一度槙野くんを見た。


槙野くんは綺麗に背筋を伸ばして前を向いていた。
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