君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
「驚かないで聞いて」
「…………」
もう既に驚いている事は口にせず、私はコクリと一度頷く。
「僕、藤さんの事が好きなんだ」
「……え? 好き、って、え? えっ??」
さらっと愛の告白をされて、軽くパニックだ。
槙野くんが私を好きって?
え? それって本当なの?
初めて知った。
口を開けて呆けてる私を見て、槙野くんは一度喉を鳴らすと口を開く。
「だよね。気付いてないよね」
気付くわけがない。
私は彼と必要以上の会話をした事がないんだ。
それに、好かれるような事をしたつもりもない。
自分が可愛いかと問われたら、普通と答えると思う。
それに陸上で短距離をしている私は、足の筋肉が発達していてお世辞にもスタイルがいいとは思えない。
下半身にしっかりと筋肉がついている。下半身デブは密かな悩みだ。
だけど、陸上が大事だから筋肉がつくのは仕方ない。
彼に好かれる要素がわからない。