君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】


「理解してっていう方が難しいかもしれないや。
昔からうちの家系で使えた力みたいだから。
どんな理由で使えるようになったかも、いつから使えるようになったかもわかんない。
ただ、15になったら誰か一人の存在を消せるって教えられたんだ」

「…………」


そう言われたって、やっぱり信じられないし、わからない。


「存在を消すっていっても、僕は僕としてここにいるし、皆の記憶が消えるわけじゃないから本当に藤さんの中からだけ消えるんだ」

「それって、槙野くんを忘れるって事?」

「そうかも。僕って存在を認識しているけど、覚えてない。
……今と同じ状態」

「今と同じなら、何でわざわざ消すような事するの?」


私が言ってる事は普通だと思う。
今と何も変わらないのに、どうして彼は私からその存在を消そうとするのだろう。


槙野くんは私に視線を送る。
心を決めているその力強い視線に、少しだけ怯んだ。
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