君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
「うん。どうぞ」
思っていたより、槙野くんは気にしていないのかワッフルが乗ったお皿を私の前へと持ってきてくれる。
ホッと安堵の息を漏らしたのも束の間。
「長田さんに何か言われたの?」
気にしていないわけなかったか。
そりゃそうだ。
あからさまに動揺しているし。
「ねえ、僕の間違いじゃなかったらちゃんと言ってね」
「……うん」
槙野くんは急に真面目なトーンでそう尋ねて来る。
私の隣に座るとこちらに体を向けた。
私はゴクリと生唾を飲み込みながら、彼の言葉を待った。
態度おかしいのバレたよね。もうそろそろバレてもおかしくないよね。
ドキドキしながら槙野くんの言葉を待つけど、彼は中々話そうとしなかった。
それに首を傾げる。
どうしたんだろう?
暫く思案顔で俯いていた槙野くんがバッと顔を上げると、意を決したのか話し始めた。
「僕と二人になるのは藤さんにとっては、迷惑なのかな」
「……えっ?」
思ってもいない言葉に、私は素っ頓狂な声が出た。
だけど、当の本人は大真面目みたいで尚も続ける。