君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
「あの、槙野くん?」
私がそう声をかけると、彼はハッとして我に返った。
「ご、ごめん。ちょっと驚いてて」
驚く?今の私の話に?
槙野くんは手で口元を押さえながら、視線を伏せている。
「今の話って、本当?」
ちらっと私を窺うように横目で見ると、そう尋ねた。
嘘で言うわけない。私は答えるようにコクリと頷く。
すると、槙野くんは手で顔全体を隠し始めた。
それから、私の前に反対の手の平を突き出した。
「ちょっと、待って。整理出来ない」
槙野くんは顔を背けたまま、そう呟く。
何が整理出来ないのだろう?
槙野くんの言っている事がわからない。
「……すっごい自惚れた事聞いてもいい?」
「えっ、うん」
なんだろう?少し身構えながら彼の話を待った。