君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
「好意があるって思ってていいの?」
「うん」
「僕、自惚れてていいの?」
「うん」
「……夢じゃないよね」
「ははっ」
それには思わず笑ってしまった。
「ほっぺたつねってみる?」
「つねっていいよ」
「遠慮しないよ?」
「うん」
ぎゅっと槙野くんのほっぺたをつねると、「痛い」と彼が言ってまた笑った。
「里緒はね、私の気持ちも槙野くんの気持ちもわかったから帰ったんだって」
「えっ、そうなの?」
槙野くんはひょいっと体を起こして、私に向き合った。
「凄いよね?」
「うん。凄いや。僕は嫌われてるとしか思えなかったし」
「それは槙野くんがマイナス思考だからだって」
「そりゃ思うよ、今日一日ずっとこっち見ないし、僕を避けるようにトイレ行ったり、長田さんと話したりしてるし」
「……気付いてたの?」
「うん。僕、藤さんの事好きだから」
「私の事好きなのに何でわかんないかなあ」
「わかるわけないよ。僕が好きなだけで、藤さんは僕を好きだなんて一言も言ってないんだから」