にゃおん、とお出迎え

「みゃおん」
ふうん。ねぇ、お見送りって寂しくない?

「みゃご?」
寂しい……ですか?

「みゃおん、みゃーおん」
そう。あたし、大好きな人が行っちゃうのはキライ。
置いて行かれるのはだーいキライ。

「みゃごみゃご」
いつか帰ってきますよ。きっと。

「みゃおん」
それでもイヤよ。あたし、お迎えなら好きだけど、お見送りはキライ。

「みゃーご」
そうですか。

スカイさんの言い方が、なんだか馬鹿にしたみたいに聞こえたから、あたしはなんだかイヤになった。

「みゃーおん」
じゃああたし帰るね。もうミネちゃん行っちゃったから。

「にゃごにゃ」
はい。さようなら。


落ち着いた調子で、スカイさんはペコリとお辞儀をする。あたしが歩き出しても、スカイさんは動かない。
帰らないのかな。気になって足が止まっちゃう。


「みゃー」
ねぇ、帰らないの?

やっぱり気になっちゃって、後ろを向いてそう聞いたら、駅のほうを見ていたスカイさんはあたしの方を向いた。

「にゃご」
だってまた来ますよ。ほら、今度は逆の向きから。

にっこり笑ってそう言われて、あたしは混乱しちゃう。

スカイさん、デンシャ見るのはじめてなのかな。
あたしよりずっと大人に見えるのに、こんなことではしゃいでる。

あたしはデンシャなんかよりスカイさんの方が気になって、じっと見てることにした。
でも、スカイさんはずーっとじっとしてられるみたいなんだけど、あたしはなんだかイライラしちゃう。
じっとしてるの、苦手なのよ。動いているものを見ていると、自分も動きたくなっちゃうもん。

そのうちに、ひらひらと飛んできた蝶々に飛びかかる。
えい、待てぇ。

ひらひら、ひらひら。
捕まえられないけど楽しーい。

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