にゃおん、とお出迎え


「みゃ」
ずっとお家にいるご主人だったの?

「にゃご」
そうです。僕が一度裏切ってしまったとき、とても傷つけてしまったんです。だから今度は、何があっても僕が見つけ出さないと。

「みゃーおん」
裏切り?

「にゃごにゃ。にゃーご」
ええ。僕の遊び場は家の中か庭だけでした。それが世界の全てで、僕の世界の中心にはいつもご主人がいたんです。
だけどある日、僕は綺麗な三毛猫の女の子に出会ったんです。とても気が強い女の子でした。
外に出たこと無いって言ったら、そんなの勿体無いわよって。
何度か庭で話をして、僕は彼女が大好きになって。一瞬だけご主人の事を忘れてしまったんです。
彼女と一緒にいたくて、庭から出たんです。


心臓、ドキンって言った。
三毛の猫は知ってる。ママやお姉ちゃんたち、皆三毛猫だった。
あたしだけ、パパそっくりのクロネコだって。

それに今の話、ママから聞いた話と少し似てる。
良いお家の猫さんと恋に落ちて、一度だけデートをして、その時に出来たのがあたしたちだって。

あたしは心臓がドキドキし過ぎて何にも言えなかった。
スカイさんは遠い目をしながら、その話を続ける。

「にゃごなーご」
僕が家の前まで戻ってきた時、ご主人の家族が彼女を追い払ってしまいました。
僕は悲しくて、家を飛び出してしまおうかと思ったんです。

「にゃおん」
しなかったの?

「にゃごにゃご」
ええ。僕のせいで、ご主人は倒れたんだそうです。
外に出ては行けないと言われているのに、僕を探しにでたんだそうです。
そして倒れて、僕が連れ戻された時には、たくさんの機械に繋がれていました。

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