にゃおん、とお出迎え


そんな風に、あたしがテープのボールに夢中になっていたら、話し声が聞こえてきた。
どうしたの? お部屋にはあたしとミネちゃんしかいないのに。

あ、でも、ミネちゃん、ケータイってやつを持ってる。


「うん、そう。さっき届いた。最近の宅配って早いよね」

「みゃおん?」


電話の相手は、どうやらお母さんらしい。
あのクロネコの帽子をかぶったお兄さんは、タクハイさんって言うんだね。
そういえばテレビでも見たことあるかも。荷物を運ぶ人だ。


「うん。ありがとう、嬉しかった」


ミネちゃんが幸せそうに笑う。
ミネちゃんを笑わせるんだから、タクハイさんはイイ人だ。

あたしもあたしも!

ミネちゃんの足元にすり寄る。
ミネちゃんは私の頭を撫でたあと、ケータイをあたしに向けた。


「みゃーおん!」

『モカちゃんかい? 元気かい?』


お母さんの声がする。うん。元気だよ、おかーさん。
あたし、ミネちゃんがニコニコしてたら、うーんと楽しいんだぁ!

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