にゃおん、とお出迎え


 翌日、ミネちゃんはいつものようにぎゃーぎゃー騒ぎながら、それでもあたしの餌と水は忘れずに出かけていった。

あーあ。暇だなぁ。ミネちゃんが居ないとつまんない。

ミネちゃんが、「お外に出ちゃダメよ?」っていつも言うから、あたし、一応我慢はしているのよ?
でもね、それもお昼までが限界。
リモコンでつけたテレビも飽きてきちゃったし、何より体が鈍っちゃう。

大丈夫。どうせミネちゃんの帰りは真っ暗になってからだもの。あたしがちょっと抜け出したってバレはしない。
あたしはあたしで、自分らしく生きなくっちゃ。

今日のタンケンはどうしようかな。
駅まで行こうか。それとも公園に行こうか。
ああ、そうだ。あたし、タクハイさんになりたいな。だってあたしもクロネコだし。


「にゃーおん!」


ベランダから屋根を伝って、最後はひらりと塀の上にジャンプ。
我ながら軽やかなステップ。
塀の上をととととと。ああ、風が気持ちいいな。やっぱりお外が大好き。


「にゃーご」
モカちゃーん!


公園に行く途中の道で、声をかけてくれたのはネコ友達のキジちゃんだ。
飛び跳ねそうな勢いであたしのところにくる。
キジちゃんはね、大事なお友達なんだよ。ふにゃんとした雰囲気がかわいいんだぁ。
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