にゃおん、とお出迎え
「みゃーおん」
ねぇねぇ、キジちゃん。何か届けて欲しいものとか、ある?
「にゃ?」
何かって何?
キジちゃんは小首をかしげる。
なんでもいいんだよ。あたし、タクハイさんになりたいの。
「みゃー」
タクハイさん……。
キジちゃんはそうぽつりというと頭をグルグルって回して。
ちょっと待っててねって言って、自分のおうちにもどっていった。
おじいさんとおばあさんと住んでるキジちゃんはとっても可愛がられていて、一度捕まるとなかなか出てこれないんだよなぁ。
そよそよと風に吹かれて待ちながら、あんまり遅いとどこか行っちゃうわよって思ってたら、意外と早く戻ってきた。
「にゃーお、にゃ」
モカちゃん、お待たせ!
じゃあこれを、お届けしてください。
キジちゃんが持ってきたのは煮干し。
前に言ってたお気に入りのおやつだ。
「みゃおん」
誰に渡せばいい?
そう聞いたら、キジちゃんたら急にアワアワしはじめた。
「にゃ?」
え? あ、えと。
そうだ……モカちゃんに!
キジちゃんは勢い良くそう言ったけど、それってもう届いちゃったよ。あたしじゃなくて、キジちゃんがタクハイさんになってる。