にゃおん、とお出迎え


「うえっ、お父さんに買ってもらったスカートなのに。えええん」

ついに涙が頬を伝った。ぽろぽろ、夕日が当たって綺麗な宝石みたいだよ。

お父さんが好きなんだね。
ああどうしよう。なんだかあたしまで悲しくなってきちゃった。

「にゃおん」
元気だして。

声をかけたら、女の子はびっくりしたみたいにあたしを見た。

まんまるお目目でサラサラの髪の可愛い女の子だ。
どこかで見たことあるような気もするけど、思い出せないなぁ。

「黒ネコちゃんだ」

その子は一瞬あたしを見て嬉しそうにしたけど、しゃがんだ拍子にスカートの汚れがまた目に入ったみたいで、そのままうずくまって泣いちゃった。

「うええええん」

「みゃー」
どうしよう。
あたしのせいじゃないわよ?
でも目の前で泣かれると辛いなぁ。

困って辺りをキョロキョロしていたら、少し離れたところでこっちを見ている男の子が居た。
タンポポを手に持って近づこうかどうしようか迷ってるみたい。
遠慮しないで早くおいでよ。
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