にゃおん、とお出迎え

「みゃおん」
ねぇ、この子を慰めてあげてよ。

あたしが近づくと「ひゃあ! 黒猫!」っていいながら男の子は逃げた。
失礼しちゃう。あたしはお化けじゃないのよ。

でも男の子が居たところにはタンポポが落ちていた。
あたしはそれを口で加えて、泣いている女の子のところへ持っていく。

「みゃおん」
はい。お友達の男の子からよ?

「……え?」

女の子はキョトンとした顔であたしを見た。


「猫ちゃんが持ってきてくれたの?」

「みゃおん。みゃー、みゃおん」
うん、そうよ。
男の子からのお届け物。
あの子きっとあなたのことが好きなのよ。
モテる女は辛いわね。
……これ使い方あってる? よくテレビで言ってるんだけど。

「ありがとう。猫ちゃん」

女の子は、今度は満面の笑みに変わった。
お届け成功らしい。
やったわ。あたし、タクハイさんになれたみたい。


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