にゃおん、とお出迎え
「ダメよ、モカちゃん。危ないから飾り付け終わるまでじっとしてて」
「にゃーおん!」
ムズムズして止められないもん。
押さえ上手のミネちゃんの手から何とか抜けだして、ツリーを飾り付けてるカタセくんに向かって突進。
カタセくんは一番上にお星様をつけているところで、いきなり後ろから来たあたしに驚いたみたい。
「うわ、ちょ、モカ」
「にゃーおん」
ぴょん、と飛び乗った……つもりだったのに、しがみついたら木はあっさりと倒れてしまう。
ツリーとあたし、仲良く床に転がった。
「みゃー」
いてて。
「きゃー、モカちゃん、大丈夫?」
心配したミネちゃんが慌てて飛んでくる。
大丈夫よ、ミネちゃん。
これでも咄嗟に受け身くらい取れるんだからね。
ミネちゃんはあたしを再び抱きかかえると、カタセくんに向かって唇を尖らせる。
「片瀬くん。せっかくのツリーだけど、うちに置くのは危ないよ。モカちゃんが怪我しちゃう」
「棚の上に置けば大丈夫じゃない?」
「うーん。でもモカちゃんジャンプしちゃうからなぁ」
「そっかぁ、……困ったなぁ」
カタセくんは残念そうに背中を丸めちゃった。あらら、でもあたしのせいじゃないわよう。