にゃおん、とお出迎え

「いじけてなんかいません! もう! 片瀬くん。帰ってよ! 邪魔!」

「えっ」

「私はモカちゃんがいればいいんだもん。おいで、モカちゃん」

「みゃーおん」

ミネちゃんが手を広げてくれたので、あたしはぴょんと飛び移った。

「知らない。もう、片付けて帰って!」

ミネちゃんはすっかり拗ねちゃった。あたしを抱っこして、ソファに座って、カタセくんの方を少しも見ない。

「ああそうかよ。なんだよ、せっかく綺麗なツリーを見せたかったのに」

いつもはただただ平謝りするカタセくんも、今日はなぜか強気のまま。
乱暴に飾りやクルクルを袋に詰め込んでしまう。

ああー。クルクルが行っちゃう。
残念だけどまたね。
あたし、今はミネちゃんを慰めなきゃ。

「じゃあな」

部屋のドアがバタンと閉まった。

その音に合わせて、ミネちゃんがビクンと体を震わせたから。
あたしは手のひらをぺろりと舐めてあげた。

そうしたら、雨が降ってきたの。
ポツン、ポツンとあたしの頭に落ちる雨粒。

ミネちゃんっていう雲から次々と落ちてくる。

「ふっ、えっ」

「みゃーおん」
泣かないでよ、ミネちゃん。
カタセくんがいなくったってあたしがいるじゃない。

「モカちゃん、なんで私って性格ブスなんだろう。えーん」

唇を噛み締めながら、ミネちゃんはオイオイと泣きだした。

「みゃー」

ああもう。仕方ないなぁ。
ミネちゃんはカタセくんが好きなんだもんね。仲直りしたいんでしょ?

あたし、カタセくんなんて嫌いなんだからね?
だけどミネちゃんが好きだから、特別よ?

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