にゃおん、とお出迎え
そのうちに、お空がゴロゴロって言いだした。
やっぱりもっと早く帰ればよかった。そう思ってももう遅い。
雨の匂いがしたかと思うと、お空が地面に落とした涙は、あっという間にすごい勢いになっちゃった。
うわああん、冷たいよう。
あたし、濡れるのは大嫌い。
すぐに、近くにあったお店の軒先に入った。
ここからおうちまではそんなに遠くないから、すぐやんでくれたらいいんだけど。
もうすぐ暗くなっちゃうし、いないのが見つかったらまたミネちゃんに怒られちゃう。
それからしばらく、あたしは丸くなってじっとしていた。かろうじて乾いているところに体を下ろしているんだけど、雨のシミがじわじわと近づいてきて嫌な感じ。
困ったなぁ。
暗いお空から、降り注ぐ滴。
シトシトと、細かい水が地面に落ちていく。
雨宿りしているすぐ上の屋根からは、もう少し大きな滴が落ちる。
ポツポツ。こっちは歌ってるみたいな音ね。
「にゃーおん」
うん、諦めた。
目を閉じて音を楽しむことにしよう。濡れるの嫌だし、動けない以上慌てたって仕方ないもの。
すると、次にまた違う音がした。
バシャバシャ。
ああなんか、騒がしいな。この音は苦手かも。