にゃおん、とお出迎え
何度か触っていたら、不意に画面が変わった。
数字とか絵とかが沢山並んでる。
あれぇ。ミネちゃん簡単そうにしていたのに、難しいんだなぁこの機械。
そうこうしているうちにあたしは何かを押してしまったらしい。
人の形の絵が出てきたと思ったら、声がする。
『もしもし、美音?』
あれ、この声カタセくんだ。
あたし、シャシンじゃなくて電話のほうを触っちゃったみたい。
『なんだよ。なんで黙ってるんだ?』
ごめんね、カタセくん。ミネちゃんじゃないんだよ。あたしなの。
でも電話ってことは姿は見えないんだよねぇ。
『何か怒ってる? ……だよな。俺いっつも煮え切らないもんな』
なんか勝手に納得し始めたわ。
どうしよう。切るのはどうやるのかな。
画面触ればいいのかなぁ。
手を伸ばした瞬間に、カタセくんが喋るから怖くて触れないよう。
『なあ、聞いてもいいか。美音は……俺とのことをどう思ってるんだ』
好きみたいだよ? カタセくんのことは。
あたしには何処がいいのかわからないけどね。
『かれこれ付き合って一年くらいなるじゃん。俺……俺はさ、美音以外考えられないし』
え? もうそんなになる?
あたしももう子猫じゃないなぁ。
カタセくんに同情してる場合じゃなくない?
ああ、あたしの恋はどこに落ちてるんだろう。