にゃおん、とお出迎え

もしかして、あれが雲になっちゃうのかな。
そうしたら、雲がどんどん増えちゃうの?

だめだよう。
そしたら雨がやまないじゃない。

あたし、ミネちゃんが帰ってくる前に帰らなきゃいけないんだからやめてよう。


「にゃーにゃー」
ねえそれ、消して?
これ以上雲を増やしたらダメだよ。

必死に訴えたら、おじさんは驚いたみたい。

「ん? 臭いのかな。煙草の匂いとかわかるのか? 動物だから」

おじさんは困ったようにそういうと、またポケットから何か取り出してその棒を突っ込んだ。
煙だけが名残惜しそうにシュルルと流れる。

すごーい。消えちゃった。
このひと、お天気を操れる人なのかも知れない。


「にゃーおん」
おじさん、すごいのね。

そう言ったら、おじさんはしゃがみ込んであたしを見た。


「まるで話でも出来るみたいなネコちゃんだな。マンションじゃ飼えないけど、サユが見たら喜ぶんだろうなぁ。
君は、帰るところはあるのかな?」

「みゃー」
あるよう。ミネちゃんのとこ。
早く帰りたいから、雨を止ませてほしいんだけど。
おじさん出来る?




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