にゃおん、とお出迎え

ぴちゃぴちゃ。

道路に落ちた雨がはねて、お腹の辺りが濡れていく。

ああ。ミネちゃんに怒られちゃうなぁ。
でももう濡れちゃったんだから、今更仕方ないよね?

塀の上にジャンプして、更に屋根へと向かう。
ここからベランダに飛び移れば大丈夫。

滑る足元に注意して、なんとかベランダに着地。

ああ良かったぁって思ってふうと息をつくと、ベランダの戸がすごい勢いでガラッと空いた。


「モカちゃん! どこ行ってたの。心配してたのに!」

「みゃー!」


ミネちゃん!
もう帰ってたの。今日は早くない?


「ああもう、泥だらけ。タオル取ってくるから待ってて」

「みゅー」

ベランダで、大人しくミネちゃんが戻ってくるのを待つ。
お空は暗くなってきているけど、今日は雲が一杯でお月さまは見えそうにない。

ママに、あたし、ミネちゃんに怒られるの嫌だようって言いたいのに、今日は無理なのかしら。


「ホラ、じっとしててね」


ミネちゃんが持ってきた柔らかいタオルであたしの体を拭いてくれる。
温かくってほっとして、あたしはおしゃべりしたい気持ちになった。
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