にゃおん、とお出迎え
ううん、ムズムズ。
ムズムズするよう。
「くちゅっ」
小さなくしゃみが飛び出して、あたしは目をあける。
鼻の辺りをこすると、ひらりと舞ったピンクのもの。
これはあれね、サクラってやつよ。
上を見ればひらひらとたくさん落ちてくるし、下を見れば絨毯みたいに敷き詰められている。
キレイなんだけど、今は不満。
せっかくいい気分でお昼寝してたのに、あたしの眠りを妨げるなんて、十年早いわよ、サクラちゃん。
体全体で伸びをして、あたしは体を起こした。
息を吸い込むとお花のいいにおいがする。
レンガの花壇って気持ちがいい。
あたしは、ミネちゃんと一緒に新しい街に来た。
もう捨てられる心配もしなくていい、って思ったら、あたしの中のコーキシンってやつがウズウズしてきた。
お部屋の中で大人しくミネちゃんの帰りを待ってるなんて、つまんない。
世の中は不思議でいっぱいだよ。ボーケンしなきゃ!