にゃおん、とお出迎え

今日も彼女たちは目ざとくあたしを見つけた。


「あ、モカちゃんだ」

「あれぇー、今日は一人? お姉さんは?」


髪の毛をふわふわさせた女の子が聞く。


「みゃーおん」


ミネちゃんはね、今日はお布団とお友達なのよ。
あたしより、あっちがいいんだって。だから、あたしも遊んであげないの。

あたしのお返事を聞いているのかいないのか、女の子たちはべたべた頭を撫で始めた。


「かわいい」

「あたしもさわるー」


いつの間にか、三人の女の子に囲まれている。

しまったわ。
子供は撫で方が乱暴だしキリがないから、近付いたらダメなんだった。

なのに、ミネちゃんのことで苛々してたから、うっかりしちゃったじゃないの。


「みゃーお」

離してよう。

そうお願いしても、中々触るのをやめてくれない。
のど、頭、背中。あ、尻尾はやめてよう。

ああもう、やだやだ。逃げちゃおうかな。


そう思った時に、一人の女の子が立ちあがった。


「あ、セイシロウくんだ」


その子の指の先を辿っていくと、公園の入り口にいる男の人に届く。

背が高くて、立ち姿がきまってる。遠目だけど、顔もカッコイイ。テレビにでてくる男の人みたい。
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