にゃおん、とお出迎え

「かっこいいよねー」


ふわふわちゃんが言う。


「でもねぇ、近付いちゃダメなんだよ。セイシロウくんはキケンだからって、ママがお姉ちゃんに言ってた」


三人の中で一番背の高い女の子が、内緒話をするみたいに声を潜めて言った。


「えー? 危険って何?」


残る二人は楽しそう。女の子って、こそこそ話が大好きよね。


「それがねぇ。セイシロウくんは女好きだから、触られたらニンシンしちゃうって」

「えー、なにそれ、危険!」

「こわーい」


女の子たちはキャーキャー言う。
ちょっとうるさいよう。


ニンシンって何だっけ。
なんか聞いた事ある気がするけど。

大変とかキケンって言ってるから、病気の名前かなぁ。

三人の女の子たちは、顔を見合わせると、揃って頬に右手をあてた。
そして示し合わせたように声を合わせて、「怖いわねぇ」なんて、おばさんの井戸端会議みたいに言う。

ふうん、そうなのか。
セイシロウくんは怖いのね?
じゃああたしも、近付かないようにしなきゃ。


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