にゃおん、とお出迎え
「にゃー」
ダメよ。セイシロウくんに触られるとニンシンになっちゃうんでしょ?
あたし、病気になるのは嫌。
「だめか、来ないなー」
そう言って、セイシロウくんはしゃがんで手を伸ばしてくる。
あたしは、触られてみたいような触られたくないような、不可思議な気分で後ずさりする。
お互い様子を窺っているこの状態は、まるで、いつもの虫との追いかけっこみたい。
あたしの方が遊ばれているみたいになってるのが何だか悔しいけどね。
「ま、いいか。変なネコだな」
セイシロウくんは唐突に飽きたらしい。
それ以上追いかけては来ずに、また公園の入口まで戻って、辺りをきょろきょろし始めた。
なんだ。
セイシロウくん、あんまり怖くないんだけど、本当にビョーキになんてなるのかなぁ。
その時、公園の外からふたつの声が同時に響いた。
「清ちゃーん!」
「ええーん。モカちゃんどこぉー」
ミネちゃんの声だ。
途端にあたしの耳はピンと張って、セイシロウくんの脇を通り過ぎて公園前の通りまで出た。
やってきたのは、フラフラのミネちゃん。
あたしのこと捜しに来たのね?
一緒に遊んでくれるのね?
やっぱりミネちゃん、大好きだよう。