にゃおん、とお出迎え

 公園に着き、水飲み場の下のほうにたまっているお水を飲んで、お気に入りの木の陰で丸くなる。
ようやく落ち着いた気分で、辺りを見回す。

一番賑やかなのは、遊具の辺りね。
あそこに近づいたら、小学生にもみくちゃにされちゃう。

見つからないように、静かにお昼寝しよう。

蝶々が時々あたしをからかいに来る。今日は捕まえないわよ。騒いだら子供たちに見つかっちゃうもの。
耳にとまった白い蝶々が、ひらり、青い空に飛んでいく。

ああ、いい気持ちだなぁ。
あたし、やっぱり、お外が大好き。










……それからどれくらい経ったんだろう。

セミの声があんまりうるさくって、目が開いた。見れば、木の上でミンミンミンミン鳴きまくってる。
うるさいよー! もっと寝ていたかったのに、何てこと!


「しゃー」


威嚇の声をあげてみたけど、セミのヤツ、全然ピクリとも動かないわ。木の上で、届かないだろうとばかりに鳴き続けてる。

ああん、悔しいよう。

こんなにうるさいんなら帰ろうかな。

そう思って動きだしたら、ジャングルジムの上に一人の女の子を見つけた。
この子知ってるわ。いっつも三人で固まってる小学生の一人。

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