にゃおん、とお出迎え
風が寒い、秋の日。
あたしはこぉひぃさんのお店の前の、レンガの花壇でお昼寝。
ここ、あったかくてお気に入りなんだ。
レンガがお日様の光をいっぱいため込んでいて、ホコホコしてるんだもん。
気持ちいいなぁって思っていたら、ふと、陰が差した。
見上げると、そこにいたのは、腰に手を当てて頬をふくらましたミネちゃん。
「やーっと見つけた。部屋から出ちゃダメって言ってるじゃない、モカちゃん」
「みゃーおん」
だって。
ミネちゃんが構ってくれないからじゃない。
せっかくのお休みなのに、テレビばっかり見てさぁ。
だったらあたしだって好きなことしてやるわようって思ったんだもん。
「ふと見たら、いなくなってたからびっくりしたよ。公園も見に行ったんだからね! もう疲れちゃったよ」
そんなミネちゃんの目は赤い。
あたしのこと心配で泣いちゃったの?とは思わない。
だって、テレビ見ているときからボロボロに泣いてたもん。
ミネちゃんの好きな、外国の恋物語だったんだけどね。
いちいち「ええっ」とか「いやー」とか「よかったー」とかうるさいったら。
テレビばっかり見てるから、理想が高くなっちゃうんだよう。
ミネちゃんはせっかく可愛いのに、いまいち男運が無いのはそのせいだと思うの。