にゃおん、とお出迎え
寒い冬はおうちが一番。
冬のあたしの特等席はミネちゃんのおひざの上。ここにブランケットをかけてもらえるともっと最高。
ミネちゃんの手があたしの背中を優しく行ったり来たりする。
ああ、ぬくぬくしてて幸せ。ミネちゃんはママじゃないけど、こうしているとママにひっついてる時みたいにあったかい。
そんな時、けたたましく電話が鳴った。
「ごめん、モカちゃん」
ミネちゃんは慌ててあたしを下し、リンリンなり続ける電話のほうへ行っちゃった。
ああーぬくもりがー。
電話のバカ、電話のバカ!
「ああ、お母さん」
あたしの気持ちとは裏腹に、ミネちゃんが笑顔になる。
お母さんってママの事だよね。ミネちゃん、ママとお話ししてるの?
楽しそうなのが悔しくって、足元にするよってみる。
「えー。でもさー。年末って新幹線混むからさ。モカちゃん連れてけないからヤダ」
ミネちゃん顔つきが変わった。声も微妙に低くない?
「親不孝って言われてもさー。ケージに入れてこいって? 普段ならそれでもいいんだけど、年末激混みじゃない。ストレスになっちゃうもん、可哀想でしょ。ペットホテル? それはイヤ。今年はモカちゃんと年越ししたいんだよ。だからダメー」
電話越しの声もすっごくうるさい。はっきり聞き取れないけど、なんか怒鳴ってるみたい。
「えー。考えてみるけど。期待しないで」
電話を元の場所に戻して溜息一つ。「あーあ」と頭を掻いたミネちゃんはあたしに向かって説明するように言った。