にゃおん、とお出迎え
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 そして、その日はやってきた。


「いい? モカちゃん、今日はおとなしくしてね」


ミネちゃんはあたしをいつものカゴバックにいれて、他にも大きな荷物を持って、アパートの下まで降りた。

あたしはカゴの中で、いつもと違う気配を感じ取っていた。
これは車の匂いだ。

あんまり好きじゃない。
ブルンブルン言ってうるさいし。


「あ、山下さん!」


ん? 男の人の声だ。
カゴの隙間から覗いてみるけど、人影しかわからない。


「片瀬(かたせ)くん、ごめんね。助かるー」

「いいのいいの。ついでだから」


ふたり、楽しそうに話してるなぁ。なんかあたし、のけ者になっててつまんない。


「みゃーみゃー」


だしてー。あたしも仲間に入れなさいよう。
ガリガリってしたらミネちゃんが気付いて出してくれた。


「ホラ、今日お世話になる片瀬くんだよ。ちゃんとご挨拶して。この子がモカちゃん。可愛いでしょ」

「うん。ちょっと待って」


ふたが開けてもらえたので、カゴからぴょこんと顔を出すと、男の人が青い車に荷物を積んでいるのが見える。

その人はあたしを見た後、ちょっとひきつった顔で笑った。


「やあ、モカちゃん。よろしくね」

「にゃー……」

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