にゃおん、とお出迎え


「あのさっ、帰りも迎えにこようか!」

「え? でも。悪いよ。大丈夫、帰りは遅めにしてすいてる電車狙うから」

「いや。ついでだから。また電話するよ」

「そう? ありがとう。何から何までお世話になってごめんね! じゃあね。あーん。まってぇ、モカちゃん!」


それ以上は、カタセくんも追ってはこなかった。
カタセくんはきっと、ミネちゃんが好きなんだな。
でもミネちゃん、この間こぉひぃさんにシツレンしたばっかりだしね。
恋なんて、いらないよね?


「みゃーおん!」

ミネちゃん。あたしはここよ! 追いかけて!


トウキョウとは違う空気。広々とした道路。車もあんまり居ない。
うわーい。楽しいよう。


「ま、って、てば、もう。……ええい、捕まえた!」


はあはあと息を荒くしながら、ミネちゃんがあたしの前足の付け根あたりを捕まえる。
じたばたと一応抵抗してみるけど、きっと無理。
ミネちゃんは、力は無いのに押さえるのは上手いんだもん。

カゴに入れられて、仕方ないから大人しくする。


「モカちゃん、これからお家に行くからね? しばらくそこで暮らすんだよ、いい?」

「にゃーおん?」

お引っ越しなの?
ココは広くて素敵だけど、おうちはどうかな。あのお部屋結構気に入ってたんだけどなぁ。


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