にゃおん、とお出迎え
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 翌日からもミネちゃん争奪戦は続く。
オオソージってやつをしなきゃいけないらしくて、昼間はミネちゃんも忙しそうに動き回っていて、ようやく夜になって、皆がコタツに入ってくれた。

テレビからはお歌が流れてて、テーブルにはミカンとチーズとおせんべい。
何だかのんびりムードだから今がチャンス。おひざをゲットするのだ! と思ったんだけど。


「ぶみゃん」

「みゃおーん!」


カズコさん、体が大きいから、のしのし来られたらすぐ押し出されちゃう。

うわあん、酷いよう。
ミネちゃんのおひざに、デーンとカズコさん。

恨みがましくカズコさんを見るあたしに気付いたのか、ミネちゃんのおかあさんが手招きしてくれた。


「よしよし、おいでモカちゃん」

「みゃおん」


あああん。ミネちゃんのおかあさん。カズコさんがいじめるよう。


「ほらあーんして」


おかあさんは、コタツの上にあったチーズをあたしにくれる。
モグモグ。おいしーい!

それに気づいて、非難の声をあげたのはミネちゃん。


「あ、お母さん、ダメだよ。それ人間用のじゃない」

「アンタ、またそんなことばっかり言って。そういうのにこだわってるからおかしなのにばっかり引っかかるんだよ」

「おかしなのって何よ」

「前付き合ってた子だよ。アンタの部屋に転がり込んでさ。見た目ばっかり良くて、中身がついてなかったから別れたんだろ?」


それ知らない。
あたしと出会う前の話かな?
あのころも、シツレンしたってミネちゃん言ってたよねぇ。

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