にゃおん、とお出迎え

「ぶにゃん」

ようやくあたしを離してくれたカズコさんは、大きな体をますます偉そうに膨らませて、あたしを見た。

「ぶみぶみ、にゃん」

ああいうときは、親子だけでお話しさせてあげるもんだよ。

つんと澄ました様子で言われて、なんだか悔しい。

「みゃおん」

どうして?
あたしが混ざっちゃダメなの?
ミネちゃん、いつもあたしとお話ししてるのに。


「ぶみゃーおん」

おかあさんはね、ホントはミネちゃんが帰ってくるの、ずーっと待ってたんだ。
だからね。嬉しいんだよ。
大みそかに、一緒に年越ししたいって、もうずっと前から言ってたんだから。
だから今くらい、おかあさんとミネちゃんふたりにしておやりよ。

「みゃー」

そうなんだ。
おかあさんは、ミネちゃんのママだもんね?
そうかあ。そうだよね……。


外はもう真っ暗で、何だか寂しくなって来ちゃった。
月が見えるのが幸いね。


「ぶみゃん」

アンタのおかあさんは?

「みゃーおん」

あたしのママは月に居るのよ?
ホラ今日も、あたしの事見てるの。
綺麗な三毛猫で、舐めてくれるとピカピカになる魔法みたいな舌を持ってるんだよ!


ママの話になると、コーフンしちゃう。

毛が立ってきたところに冷たい風が吹いて、一気に寒さが伝わっちゃった。



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