にゃおん、とお出迎え
そんな訳で、溜まったストレスをお昼寝で解消しているわけ。
もうあたし、子供じゃないんだから、八つ当たりなんてしないのよ?
自分で解決するんだから。
すごいでしょう。
でもそろそろ帰らないとなぁ。
あたしはツンとすまして起きあがる。
ひらひら。ひらひら。
サクラの花びらが落ちてきてとってもキレイ。
だけど、こういう動きって、猫的には本能が刺激されるというか……。
ああ、尻尾がムズムズする。
捕まえたい、捕まえたい、捕まえたいよう!
そんなタイミングで、また木の上から花びらが落ちてきた。
今度こそ捕まえるぞう!
ピンクのひらひらに向かって、後ろ脚を蹴り上げた。
「にゃおーん!」
「うわぁ!!」
花びらを狙ったはずだったのに、あたしは男の人のズボンにひっついてしまった。
黒い髪のおじさんは、あたしを見て目を丸くして、その場にへなへなと座り込んでしまった。
「みゃー」
ごめんなさいね?
ちょっと失敗したのよ。
スボンから離れて、そう言って見上げると、おじさんは「うわ? え?」とまだどぎまぎしている。
ズボンには土がついちゃっている。あたしがひっついたところだ。汚しちゃったな。
「にゃおん」
ごめんね。おじさん。悪かったわ。