にゃおん、とお出迎え
「欲しいならあげるよ。食べれないかも知れないけどね」
笑顔が素敵な『こおひぃ』さん。
あたし、あなたのこと気にいったわ。
また来てもいいかしら?
今度は通じなかったみたいで、『こおひぃ』さんは返事もせずに中に入ろうとする。
「みゃおん。みゃおん」
だめよ、あたしも入れて。ねぇもっと、お話ししようよ。
足元にすり寄ったら、困ったようなため息。
困らせてる?
でもわかる。あなた、あたしを押しのけたりはしないでしょう?
「モカちゃん!」
その時、大好きなミネちゃんの声がした。
あーあ、見つかっちゃった。お散歩は終わりかな。
ごめんねミネちゃん、勝手に抜け出して……と振り向いたら、予想外にミネちゃんが泣きそう。
怒ってると思ったのに。
「もうっ、いつの間にかいないし。中々帰ってこないから心配したようっ」
ミネちゃんが乱暴にあたしを抱っこして頬ずりする。
いやん、くすぐったいし、ちょっと苦しいよ。
でもいい匂い。
ミネちゃんは、いつも優しい匂いがする。
「お宅の猫ちゃんですか?」
「え?」
戸を開けかけていた『こおひぃ』さんが、ミネちゃんがに笑いかける。
さっきとはちょっと違う顔。営業スマイルってやつかな?
「あ、はい! そうなんです。越してきたばかりなのにいなくなって迷子になってるんじゃないかって心配で」
ミネちゃんが、顔を赤くしながら『こおひぃ』さんとお話してる。
ちょっと。ズルいよ、ミネちゃん。
『こおひぃ』さんはあたしのお友達なんだからね。