にゃおん、とお出迎え

「あの小さいアヤが、今じゃ俺の奥さんだもんな……。赤ん坊におっぱいあげる為に夜中までちゃんと起きてさ。
なんかすげーよな」

「みゃおん?」


おっぱい?
あたしももらった事あるわよ。ママに。

美味しいんだよ。それにあったかくて好き。
ママとねピターっとひっついてるとそれだけで嬉しくなるの。


「……いいよなー。赤ん坊は構ってもらえてさ。でもアヤが大変なのに、俺の相手して欲しいとは言えないしなー」


ポツリと呟くおじさんは何だか寂しそう。


「みゃーおん」


どうしたの?
困っているなら相談にのってあげてもいいわよ?

あたしも実は寂しいから。だってミネちゃんが構ってくれないんだもん。


「お、なんだ? 小首傾げて。聞いてくれるのか? そうだな。もうちょっと休憩していこうかな。
まだ昼休みあるしなー」


どうやらあたしの気持ちはおじさんに通じたらしい。
見上げるあたしの脇におじさんは座った。レンガにおしりをのせていて、汚れないかな。

でもおじさんは気にもしてないみたい。
あたしの隣で、ひらひら舞い降りてくるサクラを手にとって喜んでる。


「黒に映えるな。ピンク」


そう言って、あたしの耳のところに花びらをつけてくれた。


「かわいい」


にっこり笑われて、ドキンってしちゃった。
お花飾ってもらうの初めてだぁ。
あなたいい人ね。女心が分かってるじゃないの。

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