にゃおん、とお出迎え
おじさんは手をまっすぐに伸ばして、桜を手のひらに集めながら、ぼそぼそと話し始めた。
「奥さんがね。子供生まれて大変で。時々泣きそうになったりしててさぁ。それが心配なんだよね」
「みゃおん」
泣いちゃうのかぁ。それは大変かも。
でもあたしも赤ちゃんの頃は泣いてたよ。だってあたしはここにいるよーって泣かなかったら、みんなあたしのこと忘れちゃうでしょう?
「キズナは俺が抱くとすぐ泣きやむんだよね。もしかしたらアヤはそれが悔しいのかなぁ。手伝ってやりたいんだけど、『お仕事あるんだからちゃんと寝て!』なんて言って部屋から追い出すしさ。寝不足になってもいいから一緒に寝たいんだけどなぁ。アヤに不機嫌になられるのも嫌だし。それがなんつーか。……なんつーかねー」
「にゃおん」
寂しいのね?
一緒に寝たいんでしょう、分かるよう。
あたしもママがいた時はひっついて寝てるの好きだったもん。
あたしの同意に、おじさんはしみじみと頷いた。
「アヤに触りたい……」
「みゃおん」
わかる。
あたしもミネちゃんにもっと構われたい。
それもこれもカタセくんのせいよ。もうもう、大っきらい。