にゃおん、とお出迎え

 週末の夜に、あたしとミネちゃんのおうちにカタセくんがくるようになって、どのくらい経つんだろう。

ミネちゃんとあたしが、こぉひぃさんにシツレンしたのが、秋の寒いころ。
あたしが初めてカタセ君に会ったのが冬。そして今はもうすぐ夏というところ。

ミネちゃんは、いつの間にカタセくんに恋をしたんだろう。
気がついたらカタセくんはあたり前みたいにうちに来るようになって、いくらフーって威嚇しても、ビクともしなくなってきた。

でもまあ、ミネちゃんがカタセくんを好きならそれでもいいよ。
あたしが気に入らないのは別のこと。


「ごめんな、モカちゃん。ちょっと出てて」


ちょっといい雰囲気になると、カタセくん、あたしをお部屋から締め出すんだよね。
ここはあたしとミネちゃんのおうちなのに、なんでカタセくんが仕切るのよう。
ベランダから耳をそばだてて中の様子を探ると、トロンとして甘いミネちゃんの声が聞こえてくる。


「片瀬くん……、んっ」


ああもう、ニンゲンのハツジョーキって長いよう。
今の季節、ベランダは別に寒くないけど、のけものみたいにされたら、心が寒いよう。

大体、最近ミネちゃん、あたしのこと放ったらかしすぎじゃないの。
放ったらかされたらウワキされちゃうんだよ。テレビで言ってたもん。

そうだ。あたしもウワキしよう!

そしてミネちゃんを困らせてやるんだ。
テレビで見た女の人みたいに、あたしを思って泣いたらいいのよ。

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