にゃおん、とお出迎え

とりあえず、ベランダづたいに隣の建物の屋根に移って、夜のお散歩をしながら計画を練ろう。

ウワキ、ウワキ。
夜風に吹かれて気持ちが良くて、尻尾をフリフリしながら、ウワキについて考える。

うん……でも、ウワキってなんだろう。
テレビの女の人は結局、泣いていただけでその後なんにもしていなかったような?
男の人はなにしてたんだっけ。別の女の人と一緒に歩いていただけだよねぇ。

頭の周りをはてなマークでいっぱいにしながら歩いたあたしは、やがて一匹のキジトラ模様の猫に出会った。


「にゃーご」
あー、モカちゃんだ。


ゴアイサツしてくれたのは、この近くのおじいちゃんとおばあちゃんに飼われている猫のキジちゃん。
模様がキジトラだからキジちゃんって名前なんだって。
あたしと歳も同じくらいだからお友達になったんだよ?


「みゃおん」
ねぇねぇキジちゃん、ウワキって知ってる?

「にーや? にゃーにゃーにゃ」
知らない。ウキワなら知ってるよ。泳ぎに行く時にもってくやつ。

「みゃおん」
それならあたしも知ってる。前に小学生の子が持ってて、つめで穴あけちゃって泣かせたことあるもん。

「にゃ、にゃーう」
あはは、可哀想。うん、でも、ウワキはわかんないかな。

「みゃ」
そうかぁ。

一生懸命二匹で悩んだけど、結論は分かりませんで終わった。
仕方なく、キジちゃんとはバイバイして、あたしはまた夜のお散歩を楽しむ。

難しいなぁ、ウワキって。どうすればいいんだろう?

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