にゃおん、とお出迎え
気が付いたらいつもの公園まで来ていた。
昼間はあんなにニンゲンでにぎやかなのに、今はカエルの声がにぎやかだ。ブランコも動いていないし、誰もいなさそう。
トコトコと歩いていたら、上からひらひらしたなにかが落ちてきて、すっごくびっくりした。
「あ、やべ」
上の方からニンゲンの男の低い声がして、あたしは逆毛だってしまった。
ニンゲン、いたの?
全然気がつかなかった。
黒い影がスーッと滑り台から降りてくる。大人の男の人に見えるのに、滑り台で遊んでいたの?
その人は、きょろきょろしながら、あたしの方に来る。
知らないおじさんは怖いから、これ以上近づかないように声をかけた。
「にゃおん」
あなた誰?
「え? 猫?」
おじさんのほうもびっくりしたみたい。
立ち止まって、目を凝らして、ようやくあたしをちゃんとみつけたみたいだ。
夜目がきくあたしは、おじさんの輪郭もはっきりみえる。首から下げてる大きな機械は、カメラってやつかな?
まるで首輪みたい。
あたしのリボンと一緒ね。
「ごめん、これ返してくれよ」
おじさんが手を伸ばしてきたから、あたしはさっと逃げた。
その拍子に、頭に乗っかってた紙が落ちてそれがなんなのか分かった。