ただあの子になりたくて
私は音楽に乗っているふりで横に揺れながら、彼に何でか視線を送る。
暗い照明が、彼の肌を青くつつむ。
思ったより睫毛は長く頬に影を落として、シャープな頬を彩る。
ぼんやりと遠くの壁を見つめる青みがかった瞳は、銀河の星を宿したようにきらめいた。
手拍子を一瞬忘れるほど、心の奥が震える。
あまりに尊い輝きに吸い込まれそうになる。
こんな横顔を私は知らない。
前にもカラオケへは来た。
でも、彼の隣は椿のもの。
テーブルをはさんだ正面に座る私は、いつも遠い正面の顔ばかり。
いつも決まって明るくて陰りのない顔ばかり。