ただあの子になりたくて
中学の時、私に声をかけてくれたあの茶目っ気たっぷりな顔とも違う。
それはそうか。
私たちは高校生になったのだから。
私はあれから少しも成長していない。
でも、蒼介なのだ。
成長していたのだ。
ドキリとするほど、大人びた横顔。
手拍子などとうに忘れた。
下唇を軽く噛みしめても、それでも、彼にくぎ付けになる。
椿より遅くなってしまったけれど、また一つ、彼を知れた。
こうして増えていく。