ただあの子になりたくて
椿になってもゲームオーバー。
何のためにこんなことをしていたのかわからなくなる。
私の手の届くものすべて、片っ端からぶち壊した。
すごく私らしい最後。
私は笑いながら涙をぬぐい走る。
こんな思いを味わうなら、普通に死ねばよかった。
おかしな悪魔の口車になんてのるのではなかった。
やはり、私は何一つ器用にこなせないのだから。
階段を駆け下りて、あの夕暮れの日にそっくりな踊り場で足を止めた。
そして、やるせない怒りをためた拳で、窓を殴る。
外はすっかり黒く塗りつぶされ、窓にはたくさんの涙のような雨粒がたたきつけられていた。