ただあの子になりたくて
蒼介には、自分を見てもらえないどころか、別れを告げられた。
あれもこれもそれも、全部汚い自分。
私は、自分が自分だったときよりも汚れてしまった。
椿になったことが間違いだった。
この期間の記憶を、この思いを全部消し去ってほしい。
もうやめにしたい。
私は濡れた土手に大の字に広がり、自棄になって泣きわめく。
「悪魔! 出て来いよ! 元に戻せ!」
握った拳で、草をつぶし地面を滅茶苦茶に叩く。
跳ね返った水が、草が頬を打つ。