ただあの子になりたくて
この声はと、私は大きく目を見開いた。
「この僕を呼び出すなんて、君は人間の分際で随分偉いんだね」
「あんた!」
私は絶叫した。
視界いっぱいに映りこむ、ショートヘアーで垂れた目の冴えない顔の女子。
まぎれもなく私だ。
私が、私らしくもなく生意気にもあからさまにへの字口をして、私を見下ろしている。
私の顔でこんな態度をとるのは、アイツしかあり得ない。
私を言葉巧みにまんまと乗せた、あの悪魔だ。
「こんの悪魔め! 私をよく口車にのせてくれたじゃない! おかげでさんざんよ!」