ただあの子になりたくて
するとそいつは遠くに視線を移して呟いた。
「普通、魂は自分の肉体に必死に戻るようにできているものだ。でも君のはいつまでたっても戻らない。椿の体に定着している」
また、心の中が曇っていく。
頑張って私の顔を見つめ返していたけれど、自信なく視線は下がっていく。
普通は起きることが、私には起きていない。
その言葉に不安が広がらずにはいられない。
「なら……、どうすればいいのよ……?」
怖くなる。
声が消えそうだ。
もしも椿にこの体を返せなかったら。